雑誌『をちこち(遠近)』
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特別寄稿

毎月、特集を組んでお届けする「をちこちMagazine」。
トップストーリーを掘り下げる特別寄稿は、国内外の知識人・研究者などによる書き下ろしです。
トップストーリーや関連記事もあわせてお楽しみください。

2018.6. 1New

「近くへの遠回り―日本・キューバ現代美術展」ハバナで開催

初めて訪れたキューバは20世紀半ばで時が止まったかのように長閑な穏やかさに満ちていた。欧米からの旅行客であふれる首都ハバナの観光エリアである旧市街では、対米関係が緊張化する前の1950年代に輸入され、修理しながら乗っているというクラシックなアメ車が、ピンクやグリーンに塗り直されたコロニアル様式の街並に映える。そこら中に音楽があり、角ごとにカフェやレストランから古いソンやルンバを奏でる音色が響く。

2018.4.27

中国映画祭「電影2018」
来日特別インタビュー シン・ユークン監督/ダーポン監督

国際交流基金は2017年より日中国交正常化45周年を記念して、東京国際映画祭事務局のユニジャパン、上海国際映画祭事務局の上海国際影視節中心と共同で、映画を通じた日中交流事業を展開。2017年5月に広州にて「第1回日本映画広州上映ウイーク」を開催したほか、12月に上海、深セン、昆明にて「日本映画新作展」を実施し各都市で9本の新作を上映しました。 さらに日本でも、3月8日より東京を皮切りに、大阪、名古屋で中国映画の最新作10本(大阪、名古屋は9本)を上映する中国映画祭「電影2018」を開催。会場には中国から監督、俳優が駆けつけ、舞台挨拶やトークを行い、約3000人の来場者にとって作品に込めた製作者の思いや製作現場の生の話が聞ける絶好の機会となりました。同交流事業は、日中友好条約締結40周年にあたる2018年も、さらなる交流を目指して続けられます。

2018.4.10

マリー・コラン フェスティバル・ドートンヌ芸術監督に聞く舞台芸術プログラム

「ジャポニスム2018」開催期間中の2018年9月に、パリではフェスティバル・ドートンヌ・ア・パリ(以下FAP)が幕を開けます。1972年に創設されて以来、毎年秋に開催されるFAPは、ヨーロッパ芸術界を牽引してきた舞台芸術祭です。国立劇場やパリ市立劇場など、パリ市内外の多くの公共劇場で演劇・ダンスをはじめとするパフォーミング・アーツのさまざまなプログラムが展開されます。本年は、「ジャポニスム2018」との共催プログラムとして、日本から10作品以上の上演が予定されています。日本と特別な関係を築いてきたFAPの足取りを、FAP芸術監督であり、フランスの舞台芸術界の顔的存在、マリー・コラン氏に語ってもらいました。

2017.12.20

フレデリック・L・ショット氏 国際交流基金賞 受賞記念講演会レポート
海を越えて異文化を繋ぐ情熱

「Cultural Surfing - IT、歴史、アニメ・漫画、ポップカルチャー、異文化交流の波に乗って生きる。- 」本講演の主役であるフレデリック・L・ショット氏自身がつけたこのタイトルは、日本とアメリカを結ぶ海上で様々に姿を変える波に乗りながら、その卓越した日本語力をもって長年に渡り文化交流の懸け橋となってきた氏の生き方をあらわすものだ。
去る2017年10月20日、日本記者クラブ内ホールで、翻訳者、通訳者、そして研究者として活躍するショット氏による国際交流基金賞受賞の記念講演が行われた。会場を埋めた観客(中には氏の母校の高校生が何人もいた)を前に、筆者はモデレーターとして、その40年を超える業績を振り返る機会を与えていただいた。講演は、前半はショット氏のマンガに関係する仕事、後半は日米交流史の研究についての2部構成で、筆者の作った資料を見ながらお話をうかがった。

2017.10.20

厳島神社と原爆ドーム~ヴェネチアで東洋の伝統的な価値を伝える

私は、これまでずっと金沢で仕事をしてきた。金沢には、今も茶道などの伝統的な文化や町家の古い町並みが息づいている。そのような町に現代美術館をつくり、今日の美術作品を紹介してきた。その過程で、地域の伝統的な文化に触れ、刺激されてきた。時には、自分が身を置く「美術館」という西欧近代的な制度の限界を軽々と乗り越えてゆくような文化のあり方も目の当たりにした。

2017.9.27

『湯を沸かすほどの熱い愛』フィリピン日本映画祭上映記念対談
中野量太 × 佐藤尚之

2016年に公開され高評価を受けた『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督が、2017年7月6日から9日にわたり、国際交流基金マニラ日本文化センターの招きでフィリピンを訪問。帰国直後の中野監督と、同作に深い感銘を受けたと言う、「さとなお」こと国際交流基金の佐藤尚之理事*が初顔合わせ、フィリピン日本映画祭の様子や反響、日本映画を海外に紹介する意義などについて語り合った。

2017.6.29

ひと瓶の醤油があれば
ナンシー・シングルトン・八須

日本人の食卓に欠かせない調味料、醤油。重要だとわかっていても、近所のスーパーで適当に買ってしまったりします。しかし、醤油とは、生産される地域の嗜好などによって、さまざまな個性を持つ、奥深い調味料なのです。
米国カリフォルニア州で生まれ、埼玉の有機農家に嫁いだナンシー・シングルトン・八須さんは、醤油という食材の奥深さに触れ、毎年、手作りするようになりました。
ユネスコ無形文化遺産でもある和食についての本も出版されている八須さんに、日本食への情熱と伝統製法で作られた醤油について、ご寄稿いただきました。

2017.5.30

パスカル・ランベールとジュヌヴィリエ劇場 日仏演劇交流の推進役

1962年生まれのパスカル・ランベールは、フランス現代演劇を代表する演出家・劇作家のひとりである。平田オリザ氏との個人的な信頼関係に基づいて、2007年から2016年末まで彼がディレクターを務めたジュヌヴィリエ劇場(Théâtre de Gennevilliers、略称T2G)は、こまばアゴラ劇場との協働プロジェクトを数多く実現させ、近年の日本とフランスの間の演劇交流の一大拠点となった。2003年以来、定期的に来日を重ね、こまばアゴラ劇場をはじめとする劇場で自作品を上演したり、自作品の日本語版を演出したりする一方、ジュヌヴィリエ劇場において、平田オリザ、岡田利規、神里雄大ら多くの日本現代演劇の作品を招へいしてきた。今年(2017年)1月、『愛のおわり』の再演と「シアター・コモンズ」(主催:芸術公社)への参加のために来日したランベールに、15年近くにわたる日本との交流について話を聞いた。

2017.3.30

日米センター/安倍フェローシップ25周年に寄せて

五百旗頭真

「国大なりといえど、戦好まば必ず亡ぶ。」山本五十六が好んで揮毫した東洋の格言である。戦前の日本はアジアで唯一近代化された軍隊を持ち、従って戦えば必ず勝てた。それをいいことに戦を好むに至った満州事変以降の日本であった。そして格言通り、日本は昭和20年に国を亡ぼす結果となった。それに懲りた戦後日本は、経済を中心に平和的発展による再生を求めた。それは成功した。1960年代に奇跡の高度成長を遂げた日本は、西欧諸国を次々にGNPで追いつき追い越した。経済成長はいい。しかし経済一辺倒でいいのか。「国家は力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系である」(高坂正堯)。経済復興を遂げた日本は、やはり本格的な軍事力を持つべきか。否、あの戦争の誤りだけは繰り返したくない。むしろ文化的価値を経済力に添えるべきではないか。1972年の国際交流基金の創設は、そうした自問から生まれた選択であった。

2016.12.27

建築が結ぶ、震災以降の「en[縁]」とは?

7月27日、国際交流基金さくらホールで第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の帰国報告会が行われました。東京理科大学理工学部建築学科教授の山名善之氏がキュレーションした「en[縁]:アート・オブ・ネクサス」では、映像作家の菱川勢一氏、編集者の内野正樹氏、都市空間論の研究者である篠原雅武氏の3名が制作委員を担い、シェアハウスやコミュニティスペースなどの設計に携わる12組の建築家たちが出展者として参加しました(会場デザインはtecoが担当)。メインスタッフだけで30名を超える規模の同展がテーマとしたのは、タイトルにも表されている「en[縁]」。2000年代以降、特に東日本大震災以降の日本の社会状況と、その中で多くの日本人が求めるつながりや共生の感覚を、「人の縁(The En of People)」、「モノの縁(The En of Things)」、「地域の縁(The En of Locality)」の3つのテーマから捉え直し、この数年の間に施工され、実際に活用されている建築から提示しました。

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