06 クライアントワーク

大山慶



みなさんこんにちは。暑さが厳しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は作品としてではなく、お仕事で制作したアニメーションをいくつかご紹介したいと思います。


MV『猫ストーカーのうた』



まずはこちら。元々はイラストレーター浅生ハルミンさんによるエッセイを原作に製作された映画『私は猫ストーカー』(監督:鈴木卓爾、主演:星野真理)のエンドロールアニメーションとして制作したもので、のちにクレジット部分を外し、編集を加え、映画の主題歌『猫ストーカーのうた』のMV(ミュージックビデオ)としてウェブ公開されました。いわゆる「アニメ」という感じではなく、アナログ感が感じられるような、ハルミンさんのイラストがそのまま動き出したようなものを、と依頼を受け、アニメーション作家の和田淳さんと共に制作しました。作画は全てフォトショップ上でしており、紙目を後から合成して仕上げています。


映画『ゲゲゲの女房』 劇中アニメーション



鈴木卓爾監督の次作、映画『ゲゲゲの女房』(主演:宮藤官九郎吹石一恵)の劇中アニメーションも続けて担当させていただきました。貸本時代の水木しげるさんの漫画をそのまま動かしてほしいという依頼で、誰もが目にしたことのあるキャラクターだけにプレッシャーも大きかったですが、水木先生の絵を動かし映画館のスクリーンで観るという贅沢な体験ができることへの興奮のほうが大きかったです。


猫のパラパラブックスシリーズ







映画『私は猫ストーカー』がきっかけとなり、浅生ハルミンさんのパラパラ漫画「猫のパラパラブックス」のアニメートを担当させていただくようになりました。同じアニメーションでも、モニタで見ると気持ち良いのに、パラパラしてみるとそうでもない......というようなことがたびたび起こり、毎回、頭を抱えながら微調整を繰り返して完成させています。 これまでに『猫のあいさつ』『クルクルパーマネントガール』『猫のきまぐれ』『猫のランデブー』『猫のたんじょうび』と5冊が発売。お近くの本屋さんでぜひパラパラしてみてください!


『Adventures in Beauty Wonderland』



こちらは、田名網敬一さんがコスメショップSephora USのアメリカ進出15周年記念キャンペーンのために制作を手がけられたアニメーションで、アニメーターとして参加させていただきました。といっても僕が担当したのは冒頭とラストだけですが......。ほとんどはアニメーション作家の大川原亮さんが動かしています。
田名網さんの大胆な発想と素晴らしいイラストレーションに触れ、大変な刺激と経験をいただきました。全米&カナダのSephora全店で展開された他、タイムズスクエアの街頭ビジョンなどでも上映されていたとのことです。こんなとんでもないビジュアルを企業広告に使ってしまうなんて、素敵ですよね!


今回ご紹介したのは一部ですが、お仕事ではいろいろなタイプのアニメーションを作っています。作品を作る時とは違う発想や技術を使わなければならないことも多く、とても勉強になっています。

それでは今回はこの辺で。
次回は僕のもう一つのお仕事、「配給」について書きたいと思います!





keioyama00.jpg 大山 慶(おおやま けい)
アニメーション作家 1978年東京都生まれ
2005年、東京造形大学の卒業制作『診察室』が学生CGコンテスト最優秀賞、BACA-JA最優秀賞などを受賞。カンヌ国際映画祭監督週間をはじめ、海外の映画祭に正式招待される。'08年には愛知芸術センターオリジナル作品として『HAND SOAP』を制作。オランダアニメーション映画祭グランプリや広島国際アニメーション映画祭優秀賞など多数の受賞を果たす。映画『私は猫ストーカー』('08)、『ゲゲゲの女房』('10)ではアニメーションパートを担当した。現在、自ら設立に加わったCALFに在籍し、制作、配給、販売など幅広くアニメーションに携わりながら、新作『放課後』を制作中。

公式サイト : http://www.keioyama.com/
CALF : http://calf.jp/
CALF STUDIO : http://calf.jp/studio/




Page top▲