JF便り 情報センター(JFIC)編 7号 国際交流基金賞・国際交流奨励賞

JFIC部長 兼 『遠近』編集長 伊藤実佐子


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2006年10月3日に国際交流基金賞・国際交流奨励賞の授賞式が東京で開催されました。これは、ジャパンファウンデーションが創立された1972年の翌年から続いている、由緒ある顕彰事業です。また、私たち情報センター(JFIC)の通年での最大行事でもあります。
jf-ab7-2.png授賞式では、基金賞受賞者のジョー・プライス氏がこの日のために特別編集して制作してくれた、江戸期の画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)とプライス氏の邂逅を描いた8分のビデオが放映され、まだ日本人の誰もが気づくことのなかった頃から発揮されたプライス氏の作家と作品に対する洞察力の確かさ、着目点に感嘆と賞賛のため息がもれました。

今年の受賞者も例年どおり、翌日、皇居をお訪ねし、天皇陛下両陛下へのご接見を賜りました。

なお、今年はそれぞれの受賞者から、副賞の賞金(基金賞は500万円、奨励賞は200万円)の有効な使い道についてご報告が届きましたので、皆様にもあらためてお知らせします。


●プライス夫妻
600点を超える日本の江戸期絵画の収集を誇るプライス・コレクションですが、その主要作品の全貌を垣間見ることができる『ザ・プライスコレクション』(小学館刊)を世界の日本研究機関に寄贈されることが決まりました。当初より寄贈予定はあったのですが、今回の副賞によって国外の発送先が大幅に増やせると喜んでおられました。特に、中南米やアジアの経済的に厳しい状況の国の教育機関への寄贈を増やしたいとのことです。

●山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会
今年から新たにNPO法人としてスタートされる実行委員会ですが、その活動拠点の環境整備が急務となっているようです。したがって、事務所(以前は、診療所だったところ)の改装や机・イス・会議用テーブルなどの調達などに充当されるとのことです。

●サンクトペテルブルク国立大学アジア・アフリカ学部
副賞は、同学部の学生がマルチメディア映像教材を不自由なく使いこなせるためのIT環境の設備に使用されたいとのこと。たとえば、日本語の授業で日本映画を観るための映写施設や、大教室で大人数を対象として漢字指導をする際に役立つインタラクティブ・スクリーン(生徒が自分の席で漢字を書くと、教室前の大画面に映し出されるもの。教授がボタンで切り替えできるもの)など。

●金容徳(キムヨンドク)氏
韓国の代表的な学術研究機関であるソウル大学校が日本研究所を創設する時に、その中心的役割を担った金先生ですが、さすがご自身も東洋史の研究者であるだけに、副賞は韓国の社団法人歴史学会にすでに全額を寄付されました。さらなる日韓の学術交流発展に寄与されることでしょう。

*2006年度受賞者のプロフィールはこちら
*2006年度受賞者の授賞式でのスピーチは、『遠近』14号(2006年12月1日発行)に掲載しています。

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