AKI&KUNIKO
アコースティックギターのAKIと、邦楽界のKUNIKOにより2001年に結成されたユニット「AKI&KUNIKO」。ギターと日本伝統楽器の箏、弦と絃が激しく調和し、信じ難い迫力を持ち、強烈で非日常的な空間へと聞く者を駆り立てる、まさにワン・アンド・オンリーの刺激的な世界を作り出すといわれ、世界各地での公演経験も豊富な二人が、今夏、ベトナムとフィリピンで公演!
フィリピンでの熱い(!?)毎日を日記風に綴ってくださいました。
AKI&KUNIKO東南アジアツアー、ベトナム・フィリピンを巡回する16日間の旅が始まった。日本からのメンバーは私達AKI&KUNIKOと音響担当の根本氏。信頼する最強のスタッフの同行は何にも増して心強いものである。
ホーチミンとハノイでの大充実の公演を終えて、マニラへ向かう。香港を経由しマニラに到着したのは夜の7時半、ハノイを出てから、約12時間の長旅になったが、迎えに来ていただいた国際交流基金の三富さんとの一年ぶりの再会に、フィリピンにまた来ることができた喜びが体中を駆け回り疲れが吹き飛ぶ。
車でホテルにむかうが、オートバイが疾駆するベトナムの道に慣れたせいか、フィリピンの道並がとても都会的に感じた。
マニラ2日目
朝10時からフィリピン大学音楽学部でのワークショップ。今回は、ギター専攻と箏専攻の学生対象の講座である。
この学校には箏専攻の生徒がいて、先生もいる。楽器も学校で10面以上所有している。箏のレクチャーでは、箏の手法に言葉を当てて表現した口唱歌(くちしょうが)を取り上げ、学生は大きな興味を示していた。
ギターは、AKI&KUNIKOで使うチュ−ニングの説明と、スケールについての上級者向けレクチャーを行った。後半は、箏とギターでの曲の作りかたや、アドリブの取り方を実践したり、箏専攻の生徒2名をステージに上げ僕のギターに合わせて箏をKUNIKOの指導で弾いてもらい、おおいに盛り上がった!このフィリピンの地で第二のAKI&KUNIKOが誕生することを期待しながらワークショップを終了した。
この日の夜は、今回のフィリピンツアーでの初公演。フィリピン大学構内にあるAbelardo Hallは満員のお客さんであふれかえった。一曲目終了後凄い拍手と歓声。お客さんと音楽と演奏者がまさに一体となった素晴らしい、演奏家にとって理想的で憧れの境地といってもいいような公演だった。スタンディングオベ−ションと歓声!!アンコールでステージに戻ったときの怒涛の歓声!!
お客さん以上に演奏している僕達本人が感動していたことは、今まであまり経験のないことだ。
演奏終了後、サインや写真などお客さんとのコミュニケーション。スタッフが止めにはいるほどの熱烈な歓迎。まるでアイドルになったような感じで、人が押し寄せてくる。嬉しい悲鳴だ。
マニラ3日目
今日はマニラのライブハウスConspiracy Garden Caféでの公演。
ここでは去年も演奏しておおいに盛り上がった、僕達にとって思い出の地なのだ。今回は地元のミュージシャンもたくさん見に来ていて、会場はいつの間にか満員だ。
地元の人やミュージシャンが集まる所で演奏してこそ、そして彼等との音を通してのコミュニケーション、それこそが異文化交流であり、音楽に国境はないと実感出来る瞬間だと思う。正にそれが現実になったマニラの2日間だった。
バギオへ
朝10時にマニラを出発し、陸路で約5時間、バギオに到着。バギオは「フィリピンの軽井沢」だそうで、夏でも涼しく高原の避暑地といった趣である。マニラではTシャツ1枚で大丈夫だったのだが、長袖シャツが必要な感じである。
明日の公演でお世話になる北ルソン日本人会の方々と通訳等の打ち合わせ、そして久しぶりの美味しい日本食を堪能する。
バギオ2日目
今日の公演はコーディリエラ大学のホ−ルで行われる。
朝9時から機材仕込みとリハーサル。夜7時開演。オープニングアクトはフィリピンの伝統的なダンス。満員の会場を盛り上げてくれる。
そして照明が暗くなり、いざ出陣!!音と共にライトがあたり、凄い歓声と拍手。途中突然のスコールが降り、その音が鳴り響き、二人のテンションはそれと共に上がっていった。この日も大いに盛り上った公演になった。
いいと思ったら曲の途中でも大きな拍手が何度も起こる。純粋に反応してくれることが本当に新鮮で嬉しかった。
バギオ3日目
朝10時から箏とギターのワ−クショップ。昨夜のコンサートに来てくれた学生もたくさん来てくれた。
まずは「花と蝶」を二人で演奏。そしてKUNIKOの箏のレクチャーからスタート。箏の歴史から弾き方まで解りやすく説明したが、ここでも口唱歌は人気で、学生たちは楽しみながら興味津々である。
ギターのレクチャーは、オリジナルチュ−ニングについての説明と、スケール、そして楽器の響きを鳴らす方法等をレクチャーした。
最後は、箏とギターでの曲作りとアドリブの実践でワークショップを終了した。終了後は、箏爪をはめてもらって箏体験とギター体験。個人的な質問や写真等、コミュニケーションの時間である。私達の回りを取り囲み、みんな中々帰ろうとしない。
ギターに関しては、地元のオーケストラで弾いている学生等もいてかなり高度な質問を受けた。学生達の理解力、応用力等、音楽性の高さを垣間見ることができ、教える側にとってもとても刺激的な触れ合いになった。
セブへ
バギオから一旦陸路でマニラへ戻り、飛行機で一路、セブへ。長旅になったが、セブのホテルの豪華さに一気にテンションが上がり、疲れが吹き飛ぶ。
セブ2日目
今日はツアー中唯一のオフ。セブでの一日を楽しんだ。
セブ3日目
セブのライブハウス「Jazz 'n Bluz」での演奏。地元の人や観光のお客さんで大人気のお店。
演奏後はハウスバンドの演奏を堪能。
それにしてもフィリピンの女性ボーカルのレベルの高さは凄い。
セブ4日目
さて今日は、いよいよ今回のツアーでの最終公演。アヤラセンター・セブ内にある、ショッピングモールステージでの演奏。
AKI&KUNIKOの大きなポスターが聳え立つステージ。
沢山のお客様。拍手、歓声に包まれ、約一時間の演奏を楽しんだ、
フィリピンでのツアーを終えて、一言で表現するならば、フィリピンのお客さんは、本当に素晴らしい!!ステージと客席、そこには実際の距離とは違う近さがある。拍手、歓声、表情、目と目、時には音で話しかけ、そして泣き、時には叫ぶ。プレイで、すぐにその反応が返ってきて、どんどん乗せてくれる。
そしてその反応は、とても今後の可能性を感じるものだった。
箏とギターを使った、日本で生まれた二人から生まれる音が、いつかフィリピンに浸透し、アメリカに憧れるように、日本美に憧れる若者が増え、箏とギターを使ったユニットもフィリピンの地から誕生する日が来るのでは、と多少確信めいた思いが沸き上がってくる。
その実現には、やはり継続が必要になっていくと思う。
実際フィリピン大でのワークショップに来てくれた学生が、自分は韓国のカヤグムを専攻しているのだが、ギター専攻の友達と、ユニットを組むことにしたと熱く語ってくれた。
本当に嬉しい瞬間だった。
そう、これは、始まりなんだ・・・!!
今回のツアーは、私達が一番望んでいた、地元の人達との音を通しての触れ合いの時を共有することが出来、本当に幸福なツアーだった。
素晴らしい舞台を用意していただいた全ての関係者には感謝しても感謝しきれない。ありきたりの言葉しか書くことが出来ませんが、心を込めて伝えます。
ありがとう!
AKI
アコースティックギター奏者。1998年に世界的なギタリストPeter Fingerに認められヨーロッパでレコーディング、パリでの演奏を行なう。帰国後TABレーベルより発売された"Jimi's Spirit of Acoustic"での衝撃の国内デビュー以来、数々の意欲作を発表、その独自の音楽性と奏法は多くの人々に支持されている。
HP:http://www.hayamamoonstudio.com/AKI.htm
KUNIKO/帯名 久仁子(おびな くにこ)
3歳より母に筝の手ほどきを受け、10歳より地歌三弦をはじめる。東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業、同大学院音楽研究科修士課程修了。NHK邦楽オーディション合格。国内外でのコンサートや各種レコーディングなど幅広い演奏活動を行っており、特に安定感のある十七弦の演奏は各方面から定評を得ている。また、後進の指導・育成にもあたるほか、自らの企画による様々な試みを行っている。
HP:http://www.hayamamoonstudio.com/kuniko.htm
AKI&KUNIKO
2001年にユニット結成。1stアルバム"HA"は2003年、ドイツAcoustic Music Recordsからの世界発売となり、各国で大きな反響を呼んだ。世界各地で公演を行っているが、国際交流基金主催の代表的な公演には、2005年のカリブ・中米ツアー(キューバ、コスタリカ、ドミニカ共和国)などがある。