ニューヨーク日本文化センター
ニューヨーク日本文化センターでは、英語版の著書が出版されている日本の現代作家を米国に招き、その作家と著書の紹介を行う「現代日本文学セミナー」を毎年行っています。前回の角田光代氏(2008年2月)に続き、本年度は、2010年1月に著書「親指Pの修業時代」が英語版で出版された松浦理英子氏を2月22日から3月2日まで招いて、ニューヨークとシアトルの二都市でイベントを行ないました。
コロンビア大学ドナルド・キーン日本文化センターやワシントン大学での講演会、またバード・カレッジの学生との交流会や、NY市内にある本屋McNally Jacksonでのブックイベントなど、様々なイベントを通じて、松浦さんと米国の読者との交流の場が持たれました。
日本では1993年に出版された「親指Pの修業時代」は、ある日突然、女子大生の足の親指が男性器そっくりになってしまったという非常にユニークな設定を持つストーリー。松浦さんは「このストーリーを通じて、恋愛や性愛に関する世の中のあり方に疑問をなげたかった」と話し、各イベントでは、ジェンダー論や恋愛論などあらゆるトピックに関して、意見交換が行なわれました。参加者からは「このように直接、日本の作家と出会える機会があって嬉しい」、「松浦さんの哲学的な話がとても興味深かった」などのコメントが寄せられました。
北米でも村上春樹やよしもとばななといった作家は広く読まれていますが、その他の現代文学作家は紹介される機会が少ないので、今後とも、このような日本の作家と北米にいる読者との交流の場を設け、より多くの人たちに日本文学に親しんでもらえればと思っています。
なお、ニューヨーク日本文化センターでは、この「現代日本文学セミナー」の他にも、「Japanese Contemporary Literature Project」という、米国内の高校や大学、読書クラブなどに日本現代文学の書籍を提供を行うプログラムを通じて、現代日本文学のアウトリーチ活動を行なっています。