ジャカルタ日本文化センター
2009年12月4日から12日まで第11回ジャカルタ国際映画祭が開催されました。
ジャカルタ国際映画祭は、スハルト政権が崩壊した直後の1998年に産声をあげ、現在はインドネシア国内のみならず東南アジア最大規模の国際映画祭として、質・量ともに定評を得るまでになりました。
国際交流基金は第1回開催時より毎年、日本映画上映部門を支援してきましたが、今回はアカデミー賞受賞の「おくりびと」を提供、上映前にチケットは売り切れとなり、有力英字紙The Jakarta Post紙でも「最も人気を博した映画」と論評されるなど大好評でした。
インドネシアの新進気鋭のアニメーター ワフユ・アディティア氏をモデレーターに迎え、木船徳光氏がセミナー講師を務めた。(アディティア氏は、JENESYS東アジアクリエータ招へいプログラムの第2期フェローとして、2009年夏に日本のアニメーションに関する調査研究を行なった。)
また映画祭期間中には、日本のアニメーション制作の潮流を紹介するべく、インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)の協力を得て、日本各地の芸術大学・デザイン学校の学生らによるアニメーションの優秀作品20作品の上映会もあわせて実施しました。
フェスティバル・ディレクターを務める東京造形大学教授・木船徳光氏もインドネシアを訪れ、上映作品の解説、ICAFの歩み、日本のアニメーション制作の現状についてのディスカッション・セミナーを開催しました。セミナー会場には、100名近いインドネシアの若手アニメーターや学生が集まり、白熱した質疑応答から、関心の高さがうかがえました。
政治的な理由や経済危機の影響で製作本数が落ち込んだ1990年代は「インドネシア映画 冬の時代」とまで称されましたが、2000年代にはかつての勢いを取り戻し、現在は国際的にも流通するインドネシア映画が数多く製作されています。また、コンピュータの普及によりアニメーションの製作が容易になり、創造的なアイディアがあれば、途上国の作家も国境を越えて世界で勝負することが可能な時代になりました。
映画やアニメーション制作の分野で、日本とインドネシアの人的交流がますます盛んになるような事業をこれからも企画できればと考えています。