アラブ世界でアニメ作品のマジンガーZとグレンダイザーが大人気という話を各方面から聞くことが多く、それならば直接産みの親に語っていただこうと企画されたのが、今回の永井豪さんによる講演・デモンストレーションでした。
10月中旬、ヨルダン、クウェート、エジプトの三カ国を回るなかで、作品の生まれた経緯や日本を越えて世界で人気を得た理由などを語っていただき、あわせて今年日本で新たに制作・放映された「真マジンガー衝撃!Z編」の一部をアラビア語字幕をつけて上映いただきました。
カイロでは、10月13日に一般向け講演会、14日にマンガ・アニメを学ぶ学生とクリエーター対象の講演会を行ないましたが、どちらも会場の定員を大幅に上回る観客が集結し、特に一般講演では100人近い方々が入場できないほどでした。中には、ヨルダンとクウェートからずっと永井さんを追いかけてきたファンもいたほど、ファンの熱狂は想像を超えるものがあり、講演終了後も多くの若者が永井さんを取り囲み、自分のスケッチの批評を求めたり、記念撮影をお願いしていました。
講演のなかで永井さんが強調しておられたのは、多くの人々の記憶に残るキャラクターや物語を作ることが出来るのは、その土地に住み、その土地の歴史や風土を深く理解している作家だけだ、ということでした。戦後の日本で黄金バットが一世を風靡したことなどを引きながら、エジプトの黄金バットやマジンガーZを生み出してほしいと永井さんが送った熱いエールは、エジプトの将来のクリエーターたちの胸にしっかりと届いたと思います。