サンパウロ日本文化センター
サンパウロ日本文化センターでは、日本とブラジル文化のクロスオーバー現象を常に分析し、様々な事業を展開してきておりますが、2008年3月に、サンパウロ商業連盟社会サービス主催事業「Tokyogaqui・東京ここにあり」に助成をし、またコンテンツを提供しました。本事業はドイツ映画の巨匠ヴィム・ヴェンダース監督作品「東京画」を出発点とし、ブラジルに存在する「トウキョウ」を複合的に紹介する事業として構成されました。サンパウロの目抜き通りパウリスタ街に面する主催機関のビルの数階を使用し、「暗黒舞踏の父・大野一雄へのオマージュ」、「ポップ・カルチャーの伝統」などのテーマ・フロアーを設置しました。ブラジルの舞台芸術に最も強い影響を与えた暗黒舞踏に関するフロアーでは大野一雄のほか、ブラジルに舞踏を導入した楠野隆夫への追悼記念写真・ビデオ上映、日本からは大野慶人、室伏鴻、和栗由紀夫といった顔ぶれも特別参加し、ブラジルのダンサー達とのコラボレーション作品も生まれました。
また、当サンパウロ日本文化センターが過去数年前から制作過程を見守っている若手アーティストの作品発表の機会もつくりました。一方、ポップ・カルチャーをテーマとする階では、ポスター展、アニメ上映会のほかに、パラパラ・ダンス・コンテスト、コスプレ・コンクールなどを実施し、若者の人気を集めました。展示案内もコスプレ衣装のガイドがついて雰囲気が徹底されました。また、ワークショップや講演会によって、戦後日本の芸術文化の発展などについても意見交換をすることができ、学術会の専門家の注目も引きました。
様々な文化が交差し、特殊なハイブリッド現象を巻き起こすブラジルでこそこうした企画の発想が生まれるのでしょうが、2008年に祝われるブラジル日本移民百周年に相応しい事業としてマスコミからも広く扱われ、1カ月半にわたった会期中には約10万人の来客が記録されました。