草間 彌生
国際交流基金は、日本ベトナム友好年(日本ベトナム外交関係樹立40周年)を記念し、ベトナム日本文化交流センターで、草間彌生のベトナムでの初めての個展、「草間彌生:オブセッションズ」展を2013年5月25日より開催しました。
センターの中庭には、1,500個のシルバーボールが配置され、草間彌生の代表的なインスタレーションのひとつ、「ナルシスの庭」が現れました。また、中庭の後方と車庫には、赤と白の鮮やかなドットの巨大なオブジェ「新たなる空間への道標」9点が、所狭しと展示されています。
「ナルシスの庭」
「新たなる空間への道標」
さらに展示ホールには、赤と白のドットバルーンと鏡によるインスタレーション「ドッツ・オブセッション」が設置され、別館のキッチンルームでは、見る者に2次元と3次元の錯覚を起こさせるカラフルなインスタレーション「I'm Here, but Nothing」が展開されました。
「ドッツ・オブセッション」
「I'm Here, but Nothing」
ベトナムにおける日本文化の発信、文化交流や創造の拠点として活動を行う国際交流基金の事務所の建物と敷地全体を使って展開された「クサマ・ワールド」は、ベトナムのメディア、アート関係者から一般の方々まで、大きな反響を得ました。
ベトナムでの初個展にあたっての作家メッセージをご紹介します。
私は一生涯、芸術家として毎日闘っています、無限の水玉や宇宙的なネットペインティング、多様な彫刻、映像、ファッション、小説、詩、等々で私の生きるエネルギー,思想、哲学を絶大なメッセージとして残してきました。
今、世界ではテロや人殺し、戦争が起き、多くの人々がたいへん苦しんでいます。
私は「愛はとこしえ」というメッセージを、芸術を介して発信してきました。
皆さん、全世界の幸福を愛をこめて声高らかに歌い上げましょう。
私の作品が、世界を心深く、あなた達に幸いの魂をこめてお手伝いいたします。
私の今日一番の願いは、ここに展示された作品達がハノイのアートを愛する皆様に愛と平和を伝えることです。
私の創作や、それらが生み出すメッセージを皆様が少しでも感じ取っていただけたなら、私自身再び感動して心から幸福です。
その幸福の志をもって、ハノイのベトナムの益々の発展をお祈りしています。
2013年5月
東京のアトリエより 草間彌生
草間 彌生(くさま やよい)
前衛芸術家 画家 小説家
長野県生まれ。10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに絵を描き始め、水彩、パステル、油彩などを使った幻想的な絵画を制作。
1957年渡米、66年の第33回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展に参加し、「ナルシスの庭」を発表。また映画製作や新聞の発行などメディアを使った表現にも着手。
96年からは主にニューヨークのギャラリーを中心に活動を始め、国際美術評論家連盟よりベストギャラリー賞1995/96、ベストギャラリー賞1996/97を受ける。
2012年、国立国際美術館(大阪)で新作個展が巡回開始。欧米回顧展がテート・モダン(ロンドン)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)へ巡回。ヴィクトリア・ミロギャラリー(ロンドン)で個展。ルイ・ヴィトンとのコラボレーション「LOUIS VUITTON × YAYOI KUSAMA Collection」を発表など、80代を迎えてなお、旺盛に制作を続けている。