2016.6.20
白状すると私は、台湾の小説をあまり積極的に読んできませんでした。台湾の文学を読もうとするときに、台湾人でありながら日本語に頼らなければならないのがもどかしく、少々くやしくもあったからです。しかし二年ほど前、日本語に翻訳されたある作品を読んで以来、くやしがっている場合ではない、と痛感しました。日本語を頼ってでも、読むべき文学が台湾にはいっぱいあるようだ! 私に強くそう予感させたのは、黄春明(こう・しゅんめい)による「戦士、乾杯!」と題された短篇です。