スプツニ子!
ハロー! スプツニ子!です。
既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、スプツニ子!は今年の秋からマサチューセッツ工科大学のMITメディアラボに、アシスタントプロフェッサーとして就職(それとも着任っていうのかしら?)することになりました。
メディアラボでは、自分の研究室を持って、学生や他の研究室ともコラボレーションしながらいろんなプロジェクトを進めていく予定です。大学を卒業して以来、ず〜っとフリーランスでやってきた自分の初就職先がMITメディアラボというのもなかなか不思議な感じです。というのも、憧れの場所だったし、いつか学生として行きたいとも思っていたところだから。期待はたくさん、不安もすこし。今とってもドキドキしています!
そんなスプ子!的新展開を前に「初心に帰ろう!」ということで、母校であるロンドンのRCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)に先日行ってきました。
目的は2つ。恩師であるアンソニー・ダン教授に自分の研究グループについての相談。そしてRCAの卒業制作展のリサーチ。アンソニーに相談した内容はまだ秘密だけど、今回は卒業制作で感じたことを少し紹介したいと思います。
連載第一回で紹介した「クリティカル・デザイン」はRCA時代に学んだもので、今もたくさんの学生がいろんな作品やプロジェクトを展開しています。ところが、ここ数年でクリティカル・デザインにも変化が現れているようです。
少し前までは、未来のテクノロジーやガジェットを起点にして議論のきっかけをつくるのが主流でした。でも、最近はアンソニーが提唱する「Big Design」的なクリティカル・デザインが増えているそうです。では、Big Designとは何でしょうか。卒展に出品されていたベネディクト・グロスの《The Big Atlas of LA Pools》から、ちょっと考えてみましょう。
同作はプロジェクト形式の作品で、飛行機から眺めたロサンゼルスの地上の風景がきっかけになっています。ロセンゼルスにはたくさんのプール付き住宅がありますが、ベネディクトは「LAには、いったいいくつのプールがあるんだろう?」と、ふと思ったそうです。
そこで、まずはオープンソースとして公開されているLAの航空写真を入手して、そのなかにある青いもの=プールっぽいものを自動計測するプログラムをつくってみました。でも、青い物をなんでも認識してしまうプログラムでは、青い屋根の家も誤認識してしまって、あえなく失敗。次に彼はネットショップに掲載する商品写真をきれいに切り抜いてくれるインドのベンチャー企業に、航空写真に写っているプールをすべて切り抜いてもらう作業を依頼することにしました。その数、なんと4万3000個!
それだけの量のプールを一つひとつ探して、キレイに切り抜いて......という作業には膨大な時間とお金がかかりそうなものですが、そこはさすがにインド。びっくりするほどの低価格で、いとも簡単にデータを仕上げてくれたそうです(インドならコストも安い、というのは作品にとって超重要なので覚えておいてください!)。
Part 2に続く
2010年の卒業制作展。《寿司ボーグ☆ゆかり》と私。
卒業式の記念写真!