山村 真智子(在バングラデシュ日本国大使館 広報文化班)
国際交流基金(ジャパンファウンデーション)では、日本の質の高い放送コンテンツを商業ベースでは放送されにくい国・地域を中心に提供する「放送コンテンツ等海外展開支援事業」の一環として、「テレビ番組の海外展開」事業を実施しています。2016年9月には、在バングラデシュ日本国大使館の協力によりベンガル語版『男はつらいよ~寅次郎夕焼け小焼け』のテレビ放映が実現しました。放映が好評だったことを受けて、バングラデシュ国立博物館で開催された、映画上映会を担当した、同大使館の山村真智子氏に、上映に至るまでの経緯と現地の人々の反応についてご報告いただきました。
(左)上映会場となったバングラデシュ国立博物館の入口 (右)会場内の様子
2017年1月6日、ダッカにあるバングラデシュ国立博物館で『男はつらいよ ~寅次郎夕焼け小焼け(シリーズ第17作目)』が上映され、およそ500名の観客がかつての日本のように、新年早々、涙あり笑いありの日本の国民的映画を楽しみました。
バングラデシュでは、夫婦と子供だけで暮らす世帯もありますが、まだまだ大家族が多く、親戚一同がお隣さん、時にけんかをしながらも助け合って生活する風景がよく見られます。また、人情に厚いバングラデシュ人、「寅さん」はそんな彼らにきっと楽しんでもらえるはず!と数年前から諸先輩方が上映に向けて努力を重ねてきました。
今回の博物館上映に先立ち、『男はつらいよ~寅次郎夕焼け小焼け』は、国際交流基金の協力によりバングラデシュの民営放送、NTV局(インターナショナル・テレビジョン・チャンネル)がベンガル語吹き替え版を作成、2016年9月29日に同局で放映されています。このテレビ放映が大変好評だったことから、より多くの方に「寅さん」を再び楽しんでもらいたいと、今度は家族連れを中心に多くの人が足を運ぶ博物館の中で上映することになりました。
テレビ放映の後には、「NTV局内で評価が高かった」、身近な視聴者から「おもしろかった」等の感想を得ましたが、今回の博物館上映では、草だんご屋「とらや」を舞台に巻き起こる騒動に場内のあちらこちらで笑い声が!また芸者ぼたんが客に多額の借金を踏み倒されそうになる場面では、金額の多さにでしょうか!?どよめきがおこるなど、大きな反応があり、「寅さん」が理解されている!と嬉しくなりました。バングラデシュはイスラム文化でお酒を飲む習慣がないため、映画の中で飲酒の場面が多いことも気になっていたのですが、さほど問題にならなかったようです・・・・・・。
上映後には「寅さんの率直で面倒見の良いところが気に入った!大変楽しんだ」「人生とは何かを実感できる映画」「同様の日本映画をまた見たい」等の感想が次々と寄せられました。博物館からは、素晴らしい作品との評価をいただき、早々に再上映の要望が寄せられ、引き続き上映を予定しています。また今後『男はつらいよ~浪花の恋の寅次郎(シリーズ第27作目)』と『男はつらいよ~ 知床慕情(シリーズ第38作目)』のベンガル語吹き替え版もテレビ放映を予定しており、更に多くの方に「寅さん」の魅力を感じてもらい、「寅さん」を通じて、日本の文化を感じてもらえることを楽しみにしています。
担当者としては、「寅さん」がバングラデシュの人に受け入れられたことが何より嬉しく、また、諸先輩方の努力を形にすることができ、ほっとしているところです。今回の上映に関しては、コンテンツホルダーである松竹株式会社、バングラデシュ国立博物館やNTV局に大変お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました!
上映終了後は、沢山の人がアンケートにコメントを寄せてくれました。