エジプト発 コスプレレポート

村上 智江(国際交流基金カイロ日本文化センター



 2014年9月17日、300人あまりのお客様をお迎えし、香川駐エジプト日本大使にご挨拶とテープカットをいただいて華やかに始まった国際交流基金巡回展「キャラクター大国、ニッポン」。テーマがキャラクターとあって、マンガ・アニメオタクのエジプト青年も多数来場しました。

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大盛況だったコスプレイベント

 会場となったのは、ナイル川に浮かぶゲジーラ島の、瀟洒(しょうしゃ)な高級住宅街にあるアミール・イブラヒム(イブラヒム王子)の宮殿を改装した美術館、ゲジーラ・アートセンターです。広い庭には野外劇場が設置され、遊歩道のそこここに大型の彫刻が置かれた、雰囲気のある美術館です。
 この歴史ある美しい建物の中で、巡回展期間中にコスプレをしたいとの意見が多数寄せられました。ガンダムやエヴァンゲリオンの大型フィギュアが設置された広めのフロアでコスプレをしたらさぞ盛り上がるだろうと、イベントの企画・広報を始めました。

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ゲジーラアートセンター

 2014年4月、エジプトに着任して初めての巡回展にコスプレをサブイベントとして実施することに不安がなかったわけではありません。しかしふたを開けてみると、そんな心配は杞憂に過ぎず、屈託のない明るさと満面の笑顔でキャラクターに扮するエジプト青年たちの姿がそこにありました。来場者が途絶えることなく、コスプレする人もしないファンも、心からイベントを楽しみ、巡回展の場を生かしてくれます。日本のマンガ・アニメはそれほど自然にエジプトのファンに受け入れられ、楽しまれていたのです。
 戦士コスプレの2人が寄れば、自然に対戦のポーズを決め、コスプレファンはその周りを取り囲んで写真を撮ってはソーシャル・メディアにどんどんアップしていきます。それを目にした友人たちが大勢集まってくるという相乗効果で、2日間のコスプレイベントに280人もの人が巡回展会場に足を運んでくれました。もちろん、アートセンターのホールはいっぱいです。玄関ホールや庭園のベンチでコスプレイヤーが思い思いにくつろぎ、楽しむ様は圧巻でした。

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年代パネルの前にて

 日本の古武道を習い、日本語も学ぶ青年が忍者の扮装をして来てくれました。戦うためだけではなく、生き方として日本の武道を習いそれをエジプトの人たちに広めたいのだと夢を語ってくれます。着物をアレンジしたコスプレ男子がコスプレ衣装の作り方講習会を行い、コスプレファンのすそ野を広げたいと要望を出してくれます。2015年2月に予定される、エジプトのマンガ・アニメオタクが一堂に会するコンベンションを見据えて、青年たちは動き出そうとしています。

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庭園にて武士コスプレイヤーの記念ポーズ

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次のJ-popイベント企画中のイスラーム リーシャ君

 この若い世代のエネルギーがどう成長し、どこに繋がっていくか、マンガやアニメがエジプトの土壌でどう広まっていくか含めてとても楽しみです。愛される日本、良きパートナーとして受け入れられる日本であり続けるために、また日本とエジプトが互いをより良く理解するためにも、カイロで日本の文化発信を続けます。



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