「インドネシア更紗のすべてー伝統と融合の芸術」展が町田市立博物館で開催中

清田とき子
造形美術課

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「インドネシア更紗のすべてー伝統と融合の芸術」展が町田市立博物館で開催されています(朝日新聞社共催)。7月30日のオープニングはインドネシア大使や日本インドネシア協会会長の福田康夫議員を迎えて、大半の出席者がバティックの衣装をまとうという豪華でなごやかな雰囲気の中で行なわれました。

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展示は「インドネシア更紗の基層:王宮と村のバティック」(前期)がテーマです。王宮のバティックは一見地味な色合いですが、近づいてみると抽象的な連続模様がすばらしく繊細で優雅で、見飽きることがありません。

一方農村のバティックは、綿花の栽培からすべて自分達の手で行ない、村ごとの文様が形成されていたとのことで、素朴な格子模様や点描が特徴です。そのほか金属や木製の型や、美しい飾り棚などの家具もあわせて展示されています。衣掛けが日本の着物の衣桁にそっくりであるのに驚かされます。


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クバヤ
プカロンガンほか


本展は国士舘大学の戸津正勝教授のコレクションを中心としたもので、同氏は30年にわたり、インドネシアへのフィールドワークの際にバティックを収集されたとのことですが、挨拶で述べられた、実家は京都の西陣で、そこから離れたいがために東京の大学に行ったが、いつの間にか染織に回帰していた、というのは大変印象的です。鑑識眼が子どもの頃から養われていた戸津先生の目が、美しい染織工芸品に向けられるのも自然の成り行きだったのでしょう。

本展は2008年の日本・インドネシア共和国国交50周年を記念したもので、すでに2007年6月に佐野美術館で始まり、2008年には千葉、京都、東京への巡回が予定されています。ジャパンファウンデーションではカタログ制作に対して助成を行ないました。

町田展は7月31日から10月21日まで開催され、前期(8月26日まで)と後期(9月4日から10月21日まで)で内容が異なります。後期は「融合と現代:北部海岸のバティックと現代」と題し、古くから東西貿易が栄え、伝統的価値観にとらわれず、インド、中国、オランダなどの外来文化の影響を受けながら華やかな色彩と文様装飾を発展させてきた北部海岸諸都市のバティックと、現代作家の作品が展示されます。

会期中は講演会、バティックの着付け、染めの体験、ジャワ舞踊、影絵人形劇などさまざまな関連事業が行なわれる予定で、玉川大学芸術学部との合同企画によるファッションショーも企画されています。
展覧会・催しともすべて無料です。この貴重な機会に是非お運びいただきたく、ご案内いたします。
※染めの体験は募集が終わりました。


>>前期展示「インドネシア更紗の基層:王宮と村のバティック」より
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パラン文腰衣(ススフナン王宮)
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ハルジョナゴロ

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パラン文腰衣
ソロ
パネンバハン ハルジョナゴロ

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ガルーダ腰衣


>>後期展示「融合と現代:北部海岸のバティックと現代」より
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鳳凰文腰衣(1955年作)
ソロ
パネンバハン ハルジョナゴロ

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花文肩掛
アフィフ・シャクル


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ワヤン文腰衣
チレボン

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