第27回サンパウロ・ビエンナーレ報告

清田とき子
造形美術課


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左から 島袋氏・貝島氏(アトリエ・ワン)・塚本氏(アトリエ・ワン)
写真撮影:エリカ・ヤマウチ

2006年10月7日から12月17日までの2カ月余りにわたって、サンパウロのイビラプエラ公園内、チチロ・マタラーゾ・パビリオンにて、第27回サンパウロ・ビエンナーレが開催されました。

コンペで選ばれたチーフ・キューレータのリゼッチ・ラニャード氏の定めたテーマは「どのように共生するか―How To Live Together―」。
従来の国別参加を廃止して、4名の共同キューレータとともに、チームで118名の作家を選定しました。

ジャパンファウンデーションでは、ラニャード氏を日本にお招きして作家選定の協力を行ない、参加が決定した島袋道浩氏アトリエ・ワンの出品支援を行なうとともに、長谷川祐子氏をセミナーに派遣しました。

現地で当事業を担当したサンパウロ日本文化センター高橋ジョー職員から報告が寄せられましたので、以下のとおりご紹介します。

・・・「どのように共生するか」のテーマのもと、作家達はおのおのの出身国の特殊性ではなく、現代の国際社会における他者との共生というテーマに挑戦することが求められた。


アーティスト・イン・レジデンスとなった島袋氏は、ブラジルの社会および文化に触発されながら作品の制作を行なった。
4月8日から29日までの間、日本人移民の歴史を探り、沖縄県出身者との交流を行い、さらに9月18日から10月20日までの間再訪して、制作した。


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artist: SHIMABUKU / 島袋道浩, year: 2006
title: Pedi aos Repentistas - Peneira e Sonhador - para remixar meus trabalhos de polvo / Asking the Repentistas - Peneira & Sonhador - to remix my octopus works / ヘペンチスタのペネイラ・エ・ソンニャドールにタコの作品のリミックスをお願いした
medium: 2 DVD projections transfered from miniDV (7 minutes)
写真撮影:島袋道浩


新作は日本移民を語る「七つの石の物語」。移民がたどり着いた港町、サントスで七つの石を拾い、その石が様々な場所に移動するという、移民の足跡をたどるビデオ作品。過去の作品「レペンチスタ・ビデオ」は島袋氏が蛸と一緒に旅行する過程を収録したものだが、それに加えてブラジルのレペンチスタ(大道吟遊詩人)の詩による解説ビデオを同時に上映。いずれもブラジルアピール度が高い作品となり、好評を得た。

アトリエ・ワンの塚本由晴氏、貝島桃代氏は、4月30日から5月5日まで事前調査のためサンパウロに滞在した後、9月末に再訪して「モンキーウェイ」を新作し、ほかに「マンガポッド」と「ジャンボ折り紙建築」を出品した。

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「ジャンボ折り紙建築」アトリエ・ワン
写真撮影:エリカ・ヤマウチ

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「マンガポッド」アトリエ・ワン
写真撮影:アトリエ・ワン

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「モンキーウェイ」
アトリエ・ワン
写真撮影:エリカ・ヤマウチ


「モンキーウェイ」は、アトリエ・ワンがブラジル建築の巨匠、オスカー・ニーマイヤーの設計によるビエンナーレ館の建築美のみにとらわれず、周辺をとりまく公園の木々にも感動を受け、建物と自然物の間をつなぐ橋として構想され、キューレーターチームや評論家から推薦された作品だったが、安全度の問題が生じて一時通行禁止となり、補強工事の後、オープニングから一カ月後に許可がおりた。
公開された後は楽しそうに作品を体験する若者などの姿が見られた。・・・



さらに、この3月から島袋道浩氏とアトリエ・ワン、そしてブラジル人アーティストMauro RestiffeとHélio Melo氏の作品展が、ベロ・オリゾンテ市およびイパチンガ市を巡回することになりました。

なお、第27回サンパウロ・ビエンナーレの参加作家は総勢118名、参加作品は計約1,000点、総入場者数は535,000人(開催日数64日)でした。
日本においても「共生」は大きな課題です。年齢、性差、国籍、言語、文化・・・サンパウロ・ビエンナーレからの発信を、遠く離れた日本で私達も受けとめたいと思います。

写真撮影:エリカ・ヤマウチ

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