情報センター(JFIC) 部長
竹本 千春
私は、2007年1月から新たに情報センター部長に就任いたしました竹本千春と申します。ジャパンファウンデ-ションでは長年にわたり、芸術交流、日本研究・知的交流、日本語の各分野の様々な事業を担当してきましたが、今回、本Webサイトをはじめとするジャパンファウンデ-ション全体の広報、情報発信、蓄積を担当することになり、まだまだ勉強中ですが、非常に楽しく仕事をさせていただいております。前任の伊藤と同様、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。
さて、2007年3月5日夕刻、春の嵐の中、ジャパンファウンデ-ションの文化短期招へいプログラムで来日したジュ-ド・ケリー氏を囲むトークセッションがブリティッシュ・カウンシルとの共催で開催されました。
ブリティッシュ・カウンシルのモダンな会場でドリンクを交えたなごやかな雰囲気の中で、聞き手にニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室長の吉本光宏氏を迎え、アーティスト、アートに関わるNPOや団体、自治体およびマスコミ関係者など90名ほどの聴衆が集まりました。
ケリー氏は、英国の芸術界をリードする最重要人物のひとりとして大きな注目を浴びています。
1989年にリーズのウエスト・ヨークシャー・プレイハウスの初代芸術監督として抜擢された彼女は、芸術を介した意識のバリアフリーを実現するため、俳優、劇場スタッフ、観客や一般市民が皆同じ一つの正面玄関から出入りするシステムを導入したり、市民参加のプログラムとして55歳以上の高齢者が劇場に週一回集い、劇場と触れ合う機会を提供する「ヘィデーズ」や、学校で生徒が課外でアートやスポーツの出前の授業を受けられる「スパーク」など多様なプログラムを開発しました。
2002年からはロンドンに移り、他分野のアーティストとコミュニティーを結びつける創造空間「メタル」をリヴァプール、ロンドン、エセックスの再開発地域に立ち上げるのと併行して、2005年からは世界の第一線の芸術スペース、ロンドンの複合文化施設サウスバンクセンターの芸術監督として活躍しています。
非常に印象的だったのは、「人は誰でも芸術家になりえる」「芸術や創造に関わることは人間の基本的人権の重要なひとつである」という彼女の強い信念でした。
この信念に基づき、彼女はどのような場においても芸術を媒介して、専門家・市民、地方・首都・国というバリアーを取り除こうとしているのです。
現在は、ロンドンオリンピックの文化・教育プログラムの最高責任者も務める彼女ですが、近代オリンピックの創始者クーベルタン男爵の構想にまで立ち戻り、昨今のオリンピック芸術事業の狭い意味での国家ブランディング戦略を超越し、地球全体の非宗教的な祝典を演出し、世界中の人をロンドンに迎えようとする意気込みが感じられました。
ジャパンファウンデ-ションも、国際文化交流を、専門家だけのものから、一般市民が身近に感じ参加していただけるものに開放していきたいと常々考えていますので、彼女の哲学には非常に励まされました。
ジャパンファウンデ-ションは、この2007年3月、シンポジウム:アジア現代演劇プロジェクト/コラボレーションとネットワークの未来、ウズベキスタンのイルホム劇場の公演、アラブ映画祭2007、日韓NPO交流事業-若者の就労支援団体交流(PDF/23KB)など、皆様に多彩な国際交流の体験の場を提供いたします。
情報センターといたしましても、これらの事業を皆様に広く知っていただき、肌で感じていただけるよう情報発信に努めますので、どうぞふるってご参加いただけますようお願いいたします。