桜井友行
芸術交流部
緑したたる生田の丘陵に面した川崎市岡本太郎美術館で、日本の現代美展「CHIKAKU/四次元との対話」が開催されています。出品作家は草間弥生、森山大道からやなぎみわ、小谷元彦まで幅広い世代の美術家、写真家15名。
(参考情報:「CHIKAKU:四次元との対話-岡本太郎から始まる日本の現代美術」)
川崎市岡本太郎美術館
外観
CHIKAKU展入口
これは国際交流基金(ジャパンファウンデーション)が昨年オーストリアのグラーツとスペインのビーゴで主催・巡回した展覧会の帰国展です。
(参考情報:「CHIKAKU:Time and Memory in Japan」)
ジャパンファウンデーションは国際交流を目指して専ら海外での展覧会の実施に主力をおいていますが、機会を捉えて海外で開催された展観を国内においても開き、日本の方々にも作品の鑑賞ばかりでなく、美術を通じた国際交流の実態の一端にも触れてもらう場を提供しており、本展もその一環として実現されたものです。
(参考情報:ジャパンファウンデーションの主な美術交流事業)
この展覧会の大きな特徴は、
(1)岡本太郎の縄文土器の写真を構想の出発点としていること
(2)明治維新以降の急激な変容とは裏腹に日本人には速度化されない身体性と土着性が残存し続けている、と考察し、この知覚の二重性を軸として作品が選ばれていることです(本展キュレーターは美術評論家の伊藤俊治氏)。
欧州では現地各種メディアがこの展覧会を取り上げましたが、「・・・いつも月並みな言葉で定義され、ともすれば技術の陰に隠れてしまう日本の文化の輝きと内面性をより明確に提示して意欲的・・・」(El Pais紙2005,11,5)など現地評論家から高い評価を得ることができました。
CHIKAKU展展示風景
プレミアム・ユニット・シリーズ、中村哲也、2003年
Fiber Wave I、渡辺誠、2005年
本展企画の起点となった岡本太郎を記念する川崎の美術館でも、訪れた比較的若い世代の多い入場者から様々な感想がもらされています。いくつか例を上げてみますと、
「怖いけれど面白かった」(中学生)
「赤と黒を使ったお風呂、入ったら楽しそう」(9歳以下 *中村哲也「プレミアム・ユニット・バス」を見て)
「特にビデオ上映が良かった」(20代、40代)
「トリン・ミンハの作品が楽しめた。この1年で最も充実した企画展」(20代 *トリン・ミンハ:ベトナム生まれでアメリカ在住の映像作家。日本に長期滞在した時のデジタルビデオ作品が出品されている)
「なかなかのものです。未知との遭遇!」(65歳以上)
「不思議ワールド!」(高校生)など。
「CHIKAKU展」の会期は2006年6月25日までです。