トロント:現代日本社会の変遷をテーマとした講演会を連続開催

トロント日本文化センター

近年大きく変化しつつある日本の社会状況や時事問題には、多くのカナダ人が関心を寄せています。しかしカナダのメディアでは、これらのニュースが詳しく取り上げられていないのが現実です。このことを受け、国際交流基金トロント日本文化センターでは、カナダで活躍する日本研究者の視点から、今日の日本社会の現状や、その変化がカナダにもたらす意味について、現代日本社会の変遷に焦点を当てた2つの連続講演会を開催しました。

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会場を交えた活発な質疑応答セッションの様子

まず2010年1月29日にモントリオールのコンコルディア大学から池田哲准教授が、「日本と資本主義的世界システムの終焉~新しい選択の模索」と題して、示唆に富む知的刺激に溢れた講演を行ないました。社会経済をテーマにした池田氏の講演の後、会場ではオーディエンスを交えた活発な質疑応答セッションが行なわれ、講演終了後も会場で熱心な議論が続きました。

続いて2月11日には、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学からイブ・ティベルギアン准教授が、「東京の政権交代?改革派鳩山政権の公約と賭けと現実度」と題した講演を行ない、複雑な日本の政治制度をひも解きながら、2009年8月に行なわれた衆議院総選挙の重要性に対する考察を提示しました。参加者はディベルギアン氏の日本に対する深い知識に感銘を受け、同氏の日本の未来に対する洞察に熱心に耳を傾けました。

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ティベルギエン准教授による講演

真冬のトロントの厳しい寒さにも関わらず、大学院生や大学教授をはじめ、ビジネスマン、日本に関心のある一般市民など、両講演ともに多数の参加者で会場が賑わいました。参加者からのアンケートには「今回の講演会には非常に感銘を受けました。国際交流基金が、日加両国が互いに学び合える分野で、興味深い学術的研究を紹介する活動を支援していることは、とても素晴らしいことだと思います」「カナダでは日本のニュースに触れる機会がほとんど無いため、とても参考になりました」といった声が多く聞かれたほか、「このような時事問題をテーマにした講演をさらに充実させて欲しい」といった要望も寄せられています。

非常に好評を博した今回の連続講演会でしたが、カナダ市民の間で日本について高い関心を集める話題を提供したこの講演会を機に、初めて当センターを訪れたという人も数多く見受けられました。参加者には講演開始前に当センター内の図書館やギャラリーを案内し、当基金が提供しているさまざまなサービスを紹介する絶好の機会ともなりました。今回のイベントの成功を受け、当センターではこれからも日本の時事関連などの話題を提供する講演を実施していきたいと考えています。


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