サンパウロ日本文化センター
ブラジルで初めて制作された長編アニメーション映画は、日本人漫画家故中島逸平によって1972年に完成されました。「ピコンゼー」と題されたその作品はブラジル全国主要都市で封切られましたが、オリジナルプリントが廃棄されたため、幻の作品となってしまいました。
国際交流基金サンパウロ日本文化センターは、ビデオテープでしか残っていない「ピコンゼー」をデジタル化し作品を再現するとともに、中島逸平の世界を紹介するため、オリジナルセル画や直筆のストーリーボード、中島逸平の写真アルバム(特にブラジルに移住した当時の家族写真など)の展覧会を開きました。会期中には映画監督やアニメーション専門家を迎えてパネル・ディスカッションも行なったほか、中島逸平の生涯を描いた記録映画「Yppe Nakashima」も上映しました。この映画は平成20年度映画・テレビ番組制作助成を受けたものですが、同作品は「アニマ・ムンディ国際アニメーションフェスティバル」でも上映されることになりました。
サンパウロ日本文化センターはこれまで日本の食文化をさまざまな切り口から紹介してきましたが、6月には在サンパウロ日本総領事館との共催で3回にわたって「和食文化講演会シリーズ」を実施しました。国際交流基金の元文化人短期招へい者で食文化ジャーナリストであるアルナルド・ロレンサート氏、評論家ジョシマル・メーロ氏、そして寿司職人として著名な坂本ジュン氏を講師として招き、それぞれの立場から和食文化の魅力を語ってもらいました。
尺八奏者シェン・リベイロ氏
また、長年日本で尺八の修業を重ねてきたシェン・リベイロ氏による「尺八公演とワークショップ」も在サンパウロ日本総領事館との共催事業です。本事業は、尺八の演奏以外に、尺八との出会いや尺八の魅力をシェン・リベイロ氏自身が語る記録映画の上映、邦楽関係者を集めてのワークショップも併せて実施するなど、複合的な構成をもった事業となりました。
以前からサンパウロ日本文化センターでは、日本を創作テーマとする優秀なアーティストの活動を応援してきました。今回、その一環として若手コレオグラファーとして注目されているレチシア・セキトの巡回公演(サンパウロ州政府文化局推薦、サンパウロ商業連盟社会サービス主催)を助成しました。同公演は、4月から6月にかけて8回にわたってサンパウロ州内各地で開催されました。