2008年の日本インドネシア友好年が終了しホッと一息ついていたところで、2月17日より文化庁文化交流使として選ばれた地歌筝曲演奏家の福田千栄子さんが1週間の日程でインドネシアを来訪されました。
これまでアメリカやヨーロッパへ演奏旅行のご経験がある福田さんですが、アジアでの演奏は初めてとのこと。また、これまでの演奏旅行では、調弦や楽器の設置などを同行した別のスタッフが行なっていたのですが、文化交流使の制度では単身で各地へ赴くことが原則となっているため、単身の演奏旅行というのも、ご本人にとって初めての試みでした。
こうした制約もあったので、今回はレクチャー・デモンストレーションを中心に行なうこととし、ジャカルタではジャカルタ芸術大学及びインドネシア大学で実施したほか、ジャカルタより高速を使って2時間ほどの距離に位置するバンドンにおいても、インドネシア芸術学院バンドン校及びコモンルームで開催しました。
レクチャー・デモンストレーションのほかにも、当センター主催の日本語弁論大会高校生の部全国大会や、在インドネシア日本国大使館がイスラム寄宿舎で実施したイベントでの小演奏なども実施して、いずれも好評を博しました。
スタッフ無しの旅ということもあり、必然的に基金スタッフが各演奏場所へのご案内から慣れない楽器の設置、片付けなどを行なうこととなり、舞台スタッフの苦労を少し垣間見た気がします。
今回の福田さんの旅は、1カ月間の日程でインドネシアを皮切りに、フィリピン、マレーシアの順に巡回し、各地で好評だったと聞いています。今回の演奏旅行を通じて、日本で古くより受け継がれてきた伝統音楽の心を、巡回国の皆さんに少しでも感じていただき、今後の更なる交流につながることを願う次第です。