ケルンは大聖堂で知られていますが、日本文化会館は旧市街の少し外側に位置し、西側は池、北隣りは市立東洋美術館、大通りの向かい側はイタリア文化会館、そして南側は広い公園という素晴らしい環境にあります。
会館では、日本映画を毎週2回上映しています。この10月から12月にかけては、70年代・80年代のドキュメンタリー作品を紹介しています。日本映画を体系的に紹介する機関は他になく、会館の活動は映画専門誌からも高い評価を受けています。
11月は大江健三郎氏の朗読会ではじまりました。ノーベル賞作家の肉声による作品朗読(続けて同じ部分のドイツ語訳を俳優が朗読)、そしてご自分の世界観・文学観に関するお話に聴衆は熱心に耳を傾けていました。とりわけ私的な領域から社会(批判)へと連続して広がる氏の発想は大きな感銘を与えました。
25日には武者小路千家の若宗匠・宗屋さんをお迎えし、茶の湯のレクチャーと実演をしていただきました。お茶というと伝統文化そのものという感じがありますが、各時代それぞれの日常生活から遊離してはいけないと熱っぽく語る言葉に、200人あまりの観衆も深く考えさせられたようです。
21・22日には、高齢化社会に関する日独比較シンポジウムを開きました。あまり知られていませんが、日本もドイツも高齢化の「最先進国」です。また世界経済上の位置や社会制度も似かよっているため、関心が共通しているだけでなく、解決すべき共通課題も数多くあります。今回は、高齢者間のネットワークの構築、高齢者が生き生きと暮らすための学習や活動の場をテーマに、実践例も交えて議論しました。いくつかのメディアでも取り上げられ、ドイツ人のこの問題への関心の高さが伺われました。今後とも、こうした日独共通の問題をテーマに、両国の現代社会に対する理解を深めたいと考えています。このほか、日独の若手アーティストが共同制作した作品の展覧会「対話展」も21日にオープンしました。今回はデュッセルドルフ在住の鍵富さんとイェンゼンさんが、ゴミのコンテナなど身近な対象を用いる斬新なアイディアで人目を驚かせています。
他にも年間を通じてコンサートや各種のパーフォーマンスなどを行っていますので、近くに来られたときには、是非お立ち寄りください。
ケルン日本文化会館http://www.jki.de/home.html