ローマ日本文化会館
(c)徳川美術館
2008年は源氏物語千年紀にあたり、日本はもとより全世界でいろいろな記念行事が行なわれています。既に世界各国で翻訳されている源氏物語ですが、イタリアでも、近々「源氏物語」の日本語からの初めての完訳が刊行される予定となっています。このような背景から、当館では、源氏千年紀にちなんだ一連の催しを企画しましたので、ここで簡単にご紹介します。
まず、9月中旬に行なわれる茂山童司(しげやまどうじ)と詩人choriによる狂言と現代詩朗読による源氏物語のパフォーマンスを皮切りに、11月には、京都・いちひめ神社いちひめ雅楽会(ががくかい) による雅楽公演が開催されます。この公演はローマの他、フィレンツェ、ラヴェンナへも巡回する予定です。12月に入ると、高木厚人 大東文化大学教授による平安がなの書道デモンストレーションと、それに併せて、高木教授の作品と当館所蔵の作品から構成される書道展が開かれ、さらに、先に紹介した「源氏物語」イタリア語完訳を出版予定のマリア・テレーザ・オルシ(Maria Teresa Orsi) ローマ大学(University of Rome) 教授による源氏物語の講演と作品のリーディングへと続きます。また、年が変わって、2009年2月には、徳川美術館副館長四辻秀紀(よつつじひでき)氏による源氏物語絵巻物のレクチャーがローマ、フィレンツェにて開催される予定です。
イタリアでは、現代日本文学への関心が非常に高く、新しいところでは、小川洋子、綿矢りさ、金原ひとみといった作家の作品も翻訳出版されています。特に、よしもとばなな、村上春樹の作品は非常に人気が高く、ベストセラーとなっており、よしもとばななの「チエちゃんと私」("Chie-chan and I") はローマで、村上春樹の「海辺のカフカ」("Kafka on the Shore") はミラノで、それぞれ翻案劇として上演される予定となっています。
今回の源氏物語千年紀関連の各種の催しを通じて、優れた日本文学の古典をイタリアの方にも広く知っていただくこと、また、源氏物語から現代文学へと至る千年の歴史の中で、日本人独特の感性が培われてきたことを理解していただくことができることを、当館としても期待しております。
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