ケルン日本文化会館
ドイツでも日本食への関心は高く、一説によるとベルリンには200余りの日本食レストランがあるそうです(もっとも、日本語で注文できるのはその4分の1以下とか)。またテレビではドイツのカリスマ料理人が「創作スシ」を披露したり、カルパッチョ風の刺身サラダを紹介したりしています。
こうしたブームを背景に、「命の塩」を作っている沖縄の「ぬちまーす」社の協力とジェトロ・デュッセルドルフ事務所の支援を得て、日本の食文化を紹介する催しを行ないました。市販の塩とは異なり、海水を細かい霧状にして一挙に結晶させ海水のミネラル分をそのまま残す製法は、多くの聴衆の関心を呼びました。また、ヨーロッパの食材を用いて日本の薬膳の伝統を現代ヨーロッパに生かす大西恭子先生の料理の実演は、健康ブームにくわえ先生のお人柄もあって大好評でした。
もっとも、試食を伴う食文化の紹介は当会館ではほとんど経験がなく苦労の連続でした。こうした催しでは厳しい消防規定によってガスや電気で調理することが許されず、前もってこの塩をもちいた豆腐の作り方をビデオに撮っておき、壇上では火にかける直前までしか紹介できませんでした。それでもレシピのドイツ語訳を用意したこともあって、これなら実際に家で作れそうだと思ってもらえました。
デモンストレーションのあと、この豆腐や海草を巻いたお寿司、豆腐を作ったあとの汁を用いたスープ、そしてブドウパンに黒砂糖汁を吸わせ、豆腐とアーモンドシロップを溶いたクリームで包んだデザートまで、少量でしたが試食してもらいました。いずれも好評で、用意した分はアッという間になくなりました。80人ほどの参加者は初めから終わりまで興味深く聞いてくれて、大いに満足してくれました。また、日本をよく知る独日協会の元会長は「会館の催しものは数十年来知っているが、これほど楽しい催しは思い出せない。」とまで誉めてくださいました。館員一同これに気をよくして、日ごろの仕事のストレスをしばし忘れ、次には何ができるか楽しくあれこれ思い浮かべているところです。