ニューヨーク日本文化センター
ニューヨーク日本文化センターでは、日本文学出版交流センターとの共催で、直木賞受賞作家の角田光代さんを2月12日から17日までニューヨークおよびシアトルにお招きしました。
角田さんは短い滞在中に、コロンビア大学ドナルド・キーン・センター、ワシントン大学、在シアトル総領事公邸等において、講演会を行ない、300人近い読者の方たちと出会いの場をもちました。
英訳出版されている『対岸の彼女』では、35歳の専業主婦と独身キャリアウーマンの出会いからはじまり、現代の女性像やいじめの問題についても取り上げられてます。
この作品がアメリカの読者にどのように受け入れられるのか、角田さん自身も不安に思われていたようです。しかし、蓋を開けてみると、『対岸の彼女』を執筆した動機や、翻訳について、また日米の出版界の違いについて、そして、日本とアメリカの社会の違いについての活発な議論が行なわれました。公園デビューや女子校でのいじめなど日本的な設定の中にも、普遍的なテーマ - 他者とのつながりや社会との接点を欲する気持ち - が取り上げられているとの意見も聞かれました。また、角田さんの聡明で魅力にあふれる話し振りに魅了され、なかなかイベント会場から帰ろうとしない方たちの姿が印象的でした。
北米では紹介される機会が少ない日本の現代文学ですが、このような出会いの場をとおして、日本の現代文学に触れ、日本に親しむ人たちが増えることを願っています。