2021.7.26
074 物語を伝える―災厄を越えて―
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から10年を迎えた2021年。この間も全国で多数の災害が発生し、新型コロナウイルス感染症の世界的流行下での生活は2年目に入りました。災厄の体験や思いをいかに言葉にして共有するか、他者の痛みにいかに共感するか、そして年月がたつにつれて風化していく記憶をいかに次代に伝えるかという課題は、災厄の後も終わることはありません。
特集074は「物語を伝える―災厄を越えて―」をテーマに、私たちの安全な日常生活という「神話」を打ち砕くような現実の災厄の中で、「物語」はなぜ作られ、何を伝えてきたのか、そして今から生まれていく物語について、3名のインタビュー・寄稿をお届けします。
小説や漫画、現代アート等多様なメディアで、現在に至る歴史の中の人々に迫り、声なき思いを記し続ける小林エリカさん、『シン・エヴァンゲリオン論』はじめ、数多くのSF作品を批評し、震災後の文学も研究されてきた藤田直哉さん、そして、芸術人類学者として国内外で神話を研究し、「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」日本館展示(2019年、国際交流基金主催)のメンバーとして新作神話を制作された石倉敏明さん、それぞれの「物語」と「災厄」への向き合い方に迫ります。
トップストーリー
「物語を伝える―災厄を越えて―」<1>
漫画家、作家 小林 エリカさんインタビュー
「『わからない』からこそ、語りたい」
特別寄稿
「物語を伝える―災厄を越えて―」<2>
批評家、日本映画大学准教授 藤田 直哉さん寄稿
「『事実』と『物語』」
連載エッセイ
「物語を伝える―災厄を越えて―」<3>
芸術人類学者、秋田公立美術大学大学院准教授 石倉 敏明さん寄稿
「再創造される物語――『イシの物語』から『宇宙の卵』へ」(前編)
「物語を伝える―災厄を越えて―」<4>
芸術人類学者、秋田公立美術大学大学院准教授 石倉 敏明さん寄稿
「再創造される物語――『イシの物語』から『宇宙の卵』へ」(後編)